シアトル・マリナーズ !!

はー、もう思考回路ショートだわ。
わがシアトル・マリナーズ、肝心な時期に怒濤の7連敗。8月上旬までは、何かと順調だったのだが、対戦カードのライバルチームより有利なうちに、しっかり勝っとかなくちゃいけなかったのに、つまらないところで取りこぼしたりして、充分なアドバンテージを確保できないまま直接対決に臨んだ結果、惨憺たる結果を招いてしまった。地区優勝どころか、ワイルド・カード(リーグは3地区しかないので、2位チームの中で一番勝率のいいチームが、プレイオフ・トーナメントに進出できる)争いでもずるずると後退してしまった。このままでは、一両日中にも、マリナーズの今シーズンが終わってしまうのである。
一昨年までは、あまりマリナーズの動向には、興味を持っていなかった。ただ、イチローの安打した新聞記事を見るだけで、事足りていたのだが。昨年あたりから、テレビ中継をマメにチェックするようになると、チームにもそれなりの愛着がわくようになり、今年は、イチローの契約延長があって、イチロー自身もいつになく、チームの勝利にこだわる発言を繰り返すうち、成績の方もソコソコいいものだから、ついこっちもその気になってしまって、いつのまにか、すっかりハマっていたわけだ。とにかく、生活のサイクルを、MLBのテレビ中継を軸に回転させていたものだから、ソコから快楽が得られないとなると、これは辛い。チームも僕も一気に苦境に立たされてしまった。こんなときには、先祖から伝わる我が家の家訓があって、つまり・・・
野球のひいきチームが何連敗しようが、あなたの実人生には何の関係もない。
というものだが、もちろん家族と一緒に暮らしていた頃は、それなりの職に就き、家族もそれなりに健康であれば、それを慰めに、マリナーズの不振をなんとか許容してきたものだが、こうして家族が去り、毎日何の目標もなくダラダラと暮らす身になってみれば、どこに自分の実人生などあるのか、まことに疑わしい。一瞬一瞬の連続(断続?)が人生だとすれば、マリナーズの勝敗にのみが我が心を動かし、イチローの安打のみが我が傷を癒している瞬間が、一日の何割かを占めている以上、これはもう、マリナーズと我が実人生はイコールでつながれてしまうのである。しかし、これはいかにも危険だ。イチローの現役生活は、あと10年あまり。そのあいだは、満たされないながらも一喜一憂しつつやっていくとしても、イチローが引退したあとはどうする? 廃人にでもなるか。
そこで、病院へ行く。
医者がいうには、こういう場合は、遠隔地療法が有効なのだそうだ。
一番いいのは、野球のない星に移住することで、この方法だと、生涯安楽に暮らせるという。しかし、費用が意外とかかって、まず、半年間の宇宙飛行士訓練費用、その星までの旅費、その星の市民権を得る為に提出する書類の代書代と多額のワイロ、終生の住居費生活費、生き甲斐のリース賃、宇宙戦争撲滅のための寄付金、などなど、ざっと日本円にして、45000億ほど必要らしい。これは、ぼくの収入では、ちょっと無理。試算では、35184世代分の魂を悪魔に売り渡す契約書に僕がサインをすれば、実現可能とのことだが、実際には、人道上の観点からも、あまり誉められたことでないだろう。
次点は、半年間の保養施設療法。これだと費用も格安で、リーズナブルだ。患者は、目隠しをされ、保養地ヘ移送、病棟に隔離される。部屋は、鉛で密閉され、テレビ、ラジオ、インター・ネットの電波を完全シャット・アウト、野球に関する情報を得ることは不可能だ。もちろん、新聞も配達されない。また、半年間の暇に任せて、著作の1~2冊もモノに出来、一石二鳥というが、本当に辛いのは、療養によって野球熱を完全に冷まし退院した後の、1年間の定着期間なのだ。ここで中途半端に野球の魅力に触れてしまうと、せっかくの治療効果も、すべて無駄になってしまう。そこでは、各自の人生観が試され、人格が露(あらわ)にされ、野球からの自立という、まことに巨大な試練が待ち受けているのである。
ま、そんなわけで、事なかれ主義の僕としては、そういった厄介なことには関わっていられない。
ゆえに、明日の朝も午前2時に起きだし、マリナーズの連敗を見守ることになるのだ。
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